[科学哲学] 世の考察

もしこの世が、カオスの複雑系が多くを締めているとすると、何気ない現象が将来大きな影響を及ぼすことがあるのだろう。カオスはもともと数学の考え方である。その状態が進行することでエントロピーが増大する、つまり秩序が乱れてくる、という原理。バタフライ効果などで知られている。北京で蝶々が羽ばたいた程度のゆらぎが、後にニューヨークで巨大なハリケーンを発生させる原因となるかもしれない‥‥。ところで、未来の予知は完全に出来ないのだろうか。近未来の予測であれば、何とかしようといろんな学者が研究している。身近なとこで、気象庁。天気予報にはかなり骨を折っているようだが、おかげで日本の天気予報の的中率は80%以上と世界一を誇っている。「ナビア・ストークスの方程式」という言葉をご存知だろうか?どこかで聞いたことはあるかもしれないが、これは、もし解けたら天気予報なども完璧にできるだろう、とされている、未だ解けない、いわば未来予測方程式ともいわれるものである。今はスパコンなどを駆使して、その近似解を求めることでなんとか予報を出しているようである。ただし、確率付きで。
とにかく、我々人間は因果律の上でしか物事を理解できないのだから、系が乱れていく先にも原因と結果があり、お互いに離散的な結果が存在すると考えられる。ただし、その逆はない。グラスが床に落ちて割れることはあっても、割れたグラスが元に戻ることは、自然にはあり得ないのだ。現象の拡散という意味なら、これは量子力学の考え方になる。位置と速度が同時には確定できない電子の運動、これを考える上で速度を確定して位置をある確率で分布させる、理論上、この時点で電子の位置は拡散している。ちなみに、「多世界解釈」という考え方がある。原因から結果にたどりつく、考えられるあらゆる道筋全てをたどったのだ、とする、いわゆるファイマンの経歴総和法の派生で、今現在も我々の世界と同時進行する並行世界が無数に存在するとする説。SFなどでいう「パラレルワールド」のような感じのやつだ。
こうして様々な世界が並行して存在していると仮定する。宇宙の法則の存在しない世界などもあるのかもしれない。しかし、これは物理学では意味のないものとされ、定義しないことになっている。法則が破れ、定義できないものは無視する、つまり、見えないものは存在しない、と科学はいっている。例えば、宇宙の始まる前は何があったのか?などと考えることは、科学ではなく、哲学の領域になる。そうはいっても、もし存在していたことが確かなら、なにがしかはあったわけでそれを知ろうと考えるのは自然だろう。興味のあるところである。
余談だが、霊界、あの世はあるのか?いっぺん死んでまた生き返ってみないことには分からないのは痛い。人間は単なる生命体として存在しているのか、それとも”魂”とか”霊”として存在する内の一形態が生命体なのか、この辺も想像の世界になるのであるないの決定は難しい。
これに人間は、宗教として、その信念のもとにいろいろ説明をつけようとしている。昔から死は避けて通れない、生命体としての最終的な恐怖なわけで、自分という存在は死んでしまうことで完全に消えてしまうのか、という恐れに対し、そうあって欲しくないという強い願望から、救いの道を与える様々な宗教が生まれた。まだ解明に至っていない科学領域の中に、もしかしたらそのような法則も存在するのかもしれない。今はまだ、哲学や宗教の領域だが。
 
※ エントロピー : 秩序を表現する指標。いわゆる「でたらめさ」のこと。

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